今回は以前にもご紹介したことのあるK&Tこと「Kaestner&Toebelmann」のもうひとつのシザーガードが手に入ったのでご紹介したいと思います!
ただ今回ご紹介したいのは単なる「K&T」のランタンではなく、スウェーデンの代理店で販売されていた名称の異なるタイプとなります。このあたりについては後程ご説明したいとおもいます。
その理由としてやっぱりこのシザーガードもひとつの要素だと思います。
それ以外にもたくさんの特徴がありますが、かなり「作りこんでいる」というのが最大のポイントだと思います!
今回もそんな変態ランタンのK&T FENIXを早速ご紹介したいと思います!
Kaestner&Toebelmann
以前にこのK&T(Kaestner&Toebelmann)についてご説明しましたが、改めてお話をしておきたいと思います。
K&Tはドイツのエアフルトに拠点を持つランプメーカーです。
当時エアフルトには巨大なランプ工場がいくつかあったようですが、そのうちのひとつの工場となります!
【Kaestner&Toebelmann】
創設者 | S. Toebelmann |
設立 | 1874年 |
1874年に設立後1937年に事業が廃止になるまでこのKaestner&Tobelmannという名前は使われていたようです。
その後は皆さんもご存知のHASAGが事業の継承を行ったようです。
独特なデザインは継承されることはなかったようですが、今でもランタンコレクターから絶大な人気があることは間違いありません!
K&Tにはたくさんの種類のランタンがあるので集めるだけでも相当の時間がかかるかと思います。
C.J. BERGMAN FENIX
今回はKaestner&Toebelmannであることは間違いないのですが、スウェーデンに送られていたモデルになります。
というのもKaestner&Toebelmannはドイツの大きいランタンメーカーであったのと同時に世界中の多くの国に代理店がありました。その中でも最も有名なのがスウェーデンのストックホルムにある「C.J.BERGMAN」です!
要するにスウェーデン市場の為に作られたK&Tを「FENIX」という名称に変えて販売していました。
参考
C.J.BERGMANはスウェーデンの中部やストックホルム地域の主要代理店だったようです。
地図で見ても分かるようにT&Kはドイツ、そして代理店はスウェーデンのストックホルムというのは輸入には最適な場所だったと思います。
届いてすぐはお馴染みのメンテナンス
さて早速ランタンが届いたのですがやはり塗装がぎっしりついていたのでまずはこの塗装から落とすところからです!
一見こういう色の素材なのかなと思うかもしれませんが、現物を見るとかなりシルバーの塗装がされていました!それに結構なサビもありますね・・・
まずは塗装を剥がしていきましょう!
大体1日で作業は終わるのでそんなに面倒でもありませんが、ニオイがやっぱり結構するので気を遣います・・・
終わったらサビ取りもして最後に磨いて終了となります!
どうでしょう!?かなり見違えたんじゃないでしょうか?
C.J.BERGMAN FENIXだった証拠
それでは早速このランタンがなぜC.J.BERGMANのFENIXだということが分かるのか??
これは非常に簡単な答えとなっています。
それはタンクの左右にC.J.BERGMANのバッジが付いているからです。
丁度向かって左側に「C.J.BERGMAN FENIX」のバッジが付いています!
そして本体の右側には上に「Kaestner&Toebelmann Erfurt」と入っていて、Erfurtは拠点であるエアフルトのことです。
そして、下には「PANZER - STURMTROTZ No56269/71076」とあります。
このNo56269/71076は恐らく製造番号か何かだと思われます。ただこの種類だけで5万以上は考えられないので今までの製造された総数だと考えられます。
ここから更に深い話をしていく前に簡単にこのランタンのスペックもご紹介しておきたいと思います。
【K&T C.J. BERGMAN FENIX】
製造年 | 1924~1932年頃 |
芯 | 5分芯 |
サイズ | 高さ41cm・幅18cm |
作りこまれたデボス加工
このランタンの好きなところのひとつとして「かなり作りこまれたランタン」だということです!
このランタンを見たときにすぐ分かると思います!
タンクの周りにびっしりとデボス加工があるからです!なかなかここまでのデボス加工はいろんなランタンの中でも珍しい!
前面には「K&T WONT GO OUT」「CUIRASS」と書かれています。
CUIRASSは胸当て(鎧)の意味です。このランタンのグローブにもその胸当ての鎧が描かれているんです!このマークはK&Tのほとんどにそのマークがついています。
このWONT GOOUTは「LA CUIRASSEE」の方にも書かれていましたね!
もし良かったらこちらも参考に読んでみてください♪
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そして、後ろの方には「ORIGINAL PANZER」と書かれています!
丁度さきほど紹介した胸当てのマーク(PANZERロゴ)が中央にあるのが分かります!
実はこのデボス加工はタンクの裏面にも隠されているんです!
それがこちらです!
なんと!通常見えることのない部分のタンクの底面にもPANZERのロゴが付いているではないですか!
「MADE IN GERMANY」と書かれています。
当時のドイツの加工技術を見せつける為もあるでしょうし、最先端の能力を持っていたのかもしれません。
グローブも作りこまれている!
このランタンのタンク部分の加工についてはご紹介しましたが、それ以外にも作りこまれている部分があるんです!それがこのグローブ部分にも独特な形で凹凸をわざとリングのようにつけられているのが凄く珍しい!
当時プリント技術はすでにあったかと思うのですが、こうやってガラスに直接加工するところに技術力を感じます。
またこのグローブは前と後ろで模様も異なっています。
前から見るとPANZERロゴが描かれています!これは素晴らしい♪
そして後ろには「PANZER D.R.P」と書かれています。
この「D.R.P」の意味は「Deutsche Reich Patent」の略称で「ドイツ帝国特許」という意味になります。
「Deutsche Reich Patent」は(Deutsche Reichでドイチェスライヒ、Deutsche(ドイツ)Reich(国家・帝国)という意味です!Patent(特許)です。Patentは良く出てくるので覚えておきましょう!
ただそれでもこのグローブには相当の価値があることが分かりますね!
「LA CUIRASSEE」の時もグローブが作りこまれていたので、T&Kはデザインには凄く力をいれていたのかもしれません!
シザーガードがやっぱりカッコいい!
やはりこのFENIXのランタンで一番はこのシザーガードではないでしょうか?
これがあるとやっぱりすぐにK&Tのランタンだというのも分かります!
他にこういったデザインをしているランタンメーカーは見たことがありませんからね!
以前ご紹介した「LA CUIRASSEE」と並べてみました!
同じシザーガードでもグローブが違ったりと個性があるのが見ていて楽しいです!
火を灯すことで命を吹き込む!
このランタンはおおよそですが1924年~32年と言われています。
なので時期的にはかなり後期のランタンになります。
なので以前ご紹介した「LA CUIRASSEE」のように燃焼効率を上げるためのエアーチューブが底面ありません。
「LA CUIRASSEE」ではこのように底面からバーナー部分までエアーチューブがありました。
ただこれがないからと言って燃焼効率が下がっているわけではありません。それに5分芯もあるのでそこそこの光量があると思います。
こうやっておおよそ100年も経つランタンがもう一度火を入れてもらえるのはランタンも喜んでいると思います!
K&T C.J.BERGMAN FENIX まとめ
いかがでしたでしょうか??
K&Tでもスウェーデン輸出タイプのFENIXをご紹介しました!
ランタンの中でもグローブ、タンクの加工、ランタンガードなどいろいろなところに個性が詰まっているそんなランタンです!
K&Tはたくさんのランタンの種類を作っているので今後も別のものを手に入れることができましたらご紹介したいと思います。