以前まではスイスの軍用ランタンについてご紹介していましたが、今回は「戦艦」という名前をもつランタンをご紹介します!
K&Tというメーカーのランタンになるのですが正式名称は「Kaestner & Toebelmann」になります。
このランタンを入手するのもかなり苦労しましたが、これもまたかなり貴重なランタンならではの味わいがあります。
まず一目でわかるランタンガードといい、空気循環システムと今までのランタンにはないものが組み込まれています!
これぞ「変態ランタン」と言っても過言ではないほど外見がかなり個性的なランタンです!
では早速K&Tの「LA CUIRASSEE」(戦艦)をご紹介したいと思います。
Kaestner & Toebelmann
「LA CUIRASSEE」のランタンをご紹介するまえにK&T社についてご紹介しておきたいと思います!
まずこの「K&T」はドイツのエアフルトを拠点とするランプメーカーです。
S. Toebelmannが1874年に設立してからは会社がなくなる1937年まで「Kaestner & Toebelmann」というブランド名で独自のランプを開発していました。
1920年頃になると財政がかなり悪化し、販売市場も縮小していくことで経営難になりました。
当時HASAGがK&Tに委託製造業者として依頼していたこともあり、1930年代にはK&Tは生産を終了し、HASAGが事業を引き継いだとされています。
悲しいのはK&T独自のデザインなどは引き継がれることはなかったそうです。
【Kaestner & Toebelmann】
創設者 | S. Toebelmann |
設立 | 1874年 |
超変態ランタン「LA CUIRASSEE」
今までたくさんヴィンテージランタンを収集してきましたが、ここまで変態なランタンは見たことがありませんでした!
やっぱり一番目が行くのがこの「グローブガード」だと思います!!
普通のグローブガードだとこういった横線のものだと思います!
このグローブガードもなかなか変わっているものなのでちょっとノーマルとは言いにくいですが普通はこういったものですよね!
これはHelvetiaのランタンですが、一般的にはこういった横に3本線が入ったグローブガードになります!
しかし、この「LA CUIRASSEE」ではこういったクロスしているような形をしていて「シザーガード」というものになります。
これがS. Toebelmannが作った独特なデザインの作品です!
こういった今までにないデザインがコレクターのハートをくすぐるんですよね!
その他にもまだまだご紹介したい部分はありますが、それはこれからゆっくりと…www
っということでまずはスペックからご紹介したいと思います。
【LA CUIRASSEE】
サイズ | 高さ:41cm 幅:19cm |
芯 | 3分芯 |
グローブガード | あり |
製造年 | 1913年以前 |
ホットブラスト系のランタンとしてはまぁまぁそんなに大きさに特徴があるわけではありませんが、グローブに結構重さがあります。
またグローブガードも大きいのでそれでまた重くなっているように感じます!
タンク周りに凄いこだわりがある!
まずはタンク周りからご紹介したいと思うのですが、これもまたFeuerhandなどのようなタンクとはちょっと異なっています!
これがFeuerhandのタンクなのですが、プレス加工して作られているようにタンク表面がお椀型の様に切れ目のない状態のデザインになっているのが分かります!
それに対してこの「LA CUIRASSEE」ではタンクの周りにもう一枚の金属がスカートのように巻かれているのが分かります。
これがこのスカートの継ぎ目のところで分かります!
ただ実際にはこれが外からつけられた作りだとしても結構な手間がかかっているランタンです。
これもまた拘った作りが映えている部分ですね!
そして次にタンクにあるデザインについてもご紹介しておきましょう!
まず背面の部分には「LA CUIRASSEE」のデボスが入っています!
そうそう!このタンクにある文字がエンボスがじゃなくてデボスになっているのもかっこいいところですよね!
エンボスだとこういった感じで浮き上がった文字。
そして真正面のデボスにはなにやら面白い文字が書かれています。
「THE LIGHTHOUSE」
「WON'T GO OUT」
これが一体意味していることが全く分かりませんが、直訳すると「灯台の外に出さない??」これはいったい何の意味が…なんとなくですが、この灯す明かりからは外に出ることがないどこまでも明かるいということでしょうかね・・・
それだけでも十分満足です!
グローブがエグいほどカッコいい!
このランタンの中でもちろんグローブガードも変態級にカッコいいのですが、もっとカッコいいポイントがあります!
それがこのグローブです!
これエグいほどカッコいいと思いませんか!?
中央には灯台のエンボス加工がされています!
そして気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほどタンク部分に書かれていた文字を覚えていますか??
「WON'T GO OUT」
そうもう分かりましたね!
実はこのグローブにも同じ文字が書かれているんです!
これ程までに見事なエンボスが現在でも残っているのには感動しました!
以前の持ち主の方もきっと大切にしていたというのが凄く分かりますね。
では実際に灯している写真もご紹介したいと思いますがそれがこちらです!
最高にカッコいいですよね!?
後ろから光があたるとよりグローブのエンボス加工が際立っている感じがします!
Panzerグローブ
この「Kaestner & Toebelmann」のシリーズではほとんどのランタンで「Panzer」のマークが付いています!
先ほどご紹介しましたグローブはPanzerバージョンではありませんが、実際のPanzerグローブだと中央に大きくエンボス加工されています。
このようにこのPanzerマークはいたるところに付いています。
他のランタンではタンクの底に付いているものもあります!
「LA CUIRASSEE」ではこのPanzerマークがちょうどバーナーハンドルの部分に付いています。
よーく見るとタンクキャップにもついているようです!
当時技術でここまで細部にデザインを施す技術があったのには驚きですよね!
エアーチューブが入っている!
このランタンには現在では使われなくなった空気循環システムが採用されています!
それはこのタンクの底に穴が開いているんです!
これが実は空気循環システムの初期型と呼ばれています!
このエアーチューブは下からタンク内を通ってバーナーの部分に繋がっています!
現在のランタンでは「コールドブラスト」と言う冷たい空気を取り込んで空気を循環させるシステムがありますが、その前は「ホットブラスト」というシステムです。
ホットブラストはコールドブラストと違って酸素濃度が低く炎が小さい特徴があります。それを解消するために「LA CUIRASSEE」にはこういったエアーチューブが付いているのだと思われます!
現在の燃料はかなり質のいい物なのでこういった作りの恩恵を直接受けることがありませんが、当時の燃料だとこういった少しでも炎を大きくさせるための工夫がされていました!
「LA CUIRASSEE」も同じくこの作りによって酸素濃度を高くしていたのでしょう!
アンティークっぽいけど映える!
この「LA CUIRASSEE」は一見アンティーク要素が強いようにも見えますが、そんなことはありません!
自然の中でもめちゃくちゃ映えるそんなランタンです!
どこで撮るかこの時考えていましたが、森の中ではもちろんGOODですが、きっとこのランタンは海にまつわる「戦艦」という名前も付いているしきっと海岸で撮るとより映えるんだろうなと思います!
それでも森の中で撮る「LA CUIRASSEE」は最高のひとことに尽きます。
ランタンガードも最高ですし、グローブも最高!
ここまでどのポイントをとっても個性があるランタンはなかなかないと思います。
このランタンは100年以上も前の物ですがこうやってまた命が吹き込まれていると考えるとかなり感慨深いものです!
これだからヴィンテージランタンはやめられないんですよね!
Kaestner & Toebelmann まとめ
いかがでしたでしょうか??
K&T(Kaestner & Toebelmann)のランタンも貴重で珍しいランタンのひとつです!
ここまでグローブガードが変態的な形をしているランタンも見る機会がなかなか無いかと思います。
今後もK&Tのランタンは集めていく予定なのでまた極上なものが手に入ったらご紹介したいと思います。