ヴィンテージランタン

【K&T ERFURT Nr.104】芸術的なグローブに惹かれる!

 

K&Tについてはもうお馴染みと言っても良いかもしれません。

 

またK&Tかと思われるかもしれませんが、もう好きなのでしょうがないんです・・・

 

今回はそのK&Tの中でも初期に作られたランタンをご紹介したいと思います!

 

今までは「IT WONT GO OUT」のシリーズや「FENIX」についてもご紹介してきました。そして今回は、その上を凌駕すると言っても良いほどなかなかお目にかかることができないランタンになります!!名前からすると凄くシンプルになるのですが、K&T(Kaestner & Toebelmann)のERFURTのNr.104になります。

 

 

今回のNr.104の何が今までのK&Tと違うのかと言うと大きく2つのポイントがあります!

  1. グローブの作りこみ具合が最高傑作!
  2. ホットブラストには珍しいシステム!

この2つプラスαでK&T独自の作り方についてもご紹介していきたいと思います!

 

 

Kaestner & Toebelmann

 

以前にこのK&T(Kaestner&Toebelmann)についてご説明しましたが、改めてお話をしておきたいと思います。

 

K&Tはドイツのエアフルトに拠点を持つランプメーカーです。

当時エアフルトには巨大なランプ工場がいくつかあったようですが、そのうちのひとつの工場となります!

 

【Kaestner&Toebelmann】

創設者 S. Toebelmann
設立 1874年

 

Hasagとの事業継承などもありましたが今回はそういった歴史については割愛致します・・・

 

今回重要なのはこのERFURTです!

 

この「ERFURT」はK&Tの生まれた場所であり、作られた場所でもあります。そして、今回のランタンはその初期段階で生まれた「ERFURT」という文字が刻まれたランタンなのです!

 

どこにその文字が刻まれているのかというとこのランタンのバーナーハンドルに刻まれています。

 

 

これ見たときはゾクゾクしたのを覚えています!(笑)

 

K&Tの他のランタンでは下記のような模様をしています。ERFURTと入っていたのは恐らく初期型だけと思われます。

 

ちなみに今までのはどうだったかと言うと・・・

 

 

LA CUIRASSE

FENIX

このハンドル部分のデザインに目を向けてみるのもランタンを楽しむひとつだと思います!

 

K&T ERFURT Nr.104

 

さてここからはこのNr.104について深堀していきたいと思います!

【スペック】

サイズ 高さ39cm
5分芯

 

今までのKaestner&Toebelmannと言えばこのはさみのようなシザーガードが有名だと思います。

 

 

これが好きでK&Tを集めているコレクターは少なくないと思います。

 

ただ今回はそういったシザーガードが生まれる前と言っても良いかもしれません。

 

見た限り普通のグローブガードなのでこれといった特徴がないのでは・・・と思うかもしれませんが、このNr.104の特徴はそこではありません!

 

もう見てお分かりの通りこの真鍮の蓋が付けられているグローブではないでしょうか?

 

 

グローブについて語る前にもう少しだけこのランタンの歴史を・・・(笑)

 

作られたのは約130年前

このランタンの製造年がなぜわかったのかと言うと、パネルに付けられているD.R.Pの特許番号からです。

 

 

D.R.P 56269/71076とあります。

これは凡そですが1891年~1893年に取得された特許番号だということが分かります。

 

ドイツの特許番号は今でも調べることができるようです♪

 

特許の番号とランタンの製造年が完全にイコールとは言いにくいのですが、恐らくその間で作られていたのではないかと推測します。

 

特許番号 D.R.P 56269/71076
特許取得年 1891~1893年

 

またもうひとつこのプレートから分かることがあります。

それは商標登録のトレードマークからです。

 

この赤色でしるしをつけているところを見るとなにやら植物のような記号に見えます。

 

商標登録のトレードマーク

左右に付けられている植物

 

こうやって推理していくとなかなか面白いものです!

 

またこの特許番号はグローブにもエンボス加工で付けられています!

 

 

これはK&T PATENTと書かれているのでこのK.TはそのままKaestner & Toebelmannの頭文字をとったものでしょう。

 

そして特許番号のNo.56269とエンボス加工されています。

 

 

グローブに付けられた謎の蓋

そしてこのランタンの神髄といっていいのがこのグローブに付けられた真鍮の蓋です!

 

 

この蓋はなんのために付けられているのかと言いますと、まず順を追って説明すると・・・

 

このランタンには通常あるものがありません。

それは火をつけるために通常下記のようなグローブをトップからリフトアップする仕組みがありますがそれにはありません。

 

 

なので火をつけるためにはこの真鍮の蓋をとってそこから火を付けるようになります。

 

 

実際に蓋を取ってみるとこのように空洞になっているのでそこからマッチを入れて火を付けていたのでしょう!

 

 

正直この発想はなかなかできるものではありません!最高にカッコいい作りです!

 

約130年前にこういった技術や発想があることに驚きを隠せません!

 

またこの蓋は鎖で繋がれているのでなく心配もないですね!

 

 

こういったグローブに穴を開けて蓋を付けるランタンはK&Tの数ある中でも5種類のみとなっています!

 

この技術は蓋としてではなく他の用途として施している会社が数社あります!

 

燃焼効率を高めている

次にK&Tといえばタンク底面についているエアチューブではないでしょうか?

 

 

以前にもご紹介したことがありますが、どうやらそれ以外の用途としても想定していたのではないのかというのも少し分かってきました。

 

過去の記事ではエアチューブについてもう少し詳しく書いています。

【K&T】戦艦と呼ばれるランタンが超変態級にカッコよすぎる!

  以前まではスイスの軍用ランタンについてご紹介していましたが、今回は「戦艦」という名前をもつランタンをご紹介します!   K&Tというメーカーのランタンになるのですが正式名称は「 ...

続きを見る

 

まずこのシステムを「courant d'air central」と呼ぶようです。

 

資料を見る限りこのシステムは暴風雨の気候でも壊れないシステムとありました。

 

そしてこのエアーチューブはバーナー部分から中を通って底面へと続いています。

 

 

確かにシステム上の名前では空気を通すとありますが、暴風雨となると雨水が貯まることによるバーナータンク内への侵入が考えられ、またそれが燃焼率を下げる原因にもなるためこのチューブを付けて雨水を底面から排水するというシステムとしてもあったのではないかと思います!

 

このシステムを付けるだけで一石二鳥の役割があったかもしれませんね!

 

またこの燃焼効率を高める機能がもう一つ付けられています!それがこちらです!

 

 

これも用途としては空気の循環を良くするため、あとは防風雨による雨水の直接の侵入を防ぐ役割があったものと考えられます。

 

この時のランタンは特許を取得した機能が詰め込むだけ詰め込まれていますね!

 

どのような状況を想定したランタンなのかは不明ですが、当時の特許レベルが最大限使われている最強のランタンと言っても良いかと思います!

 

芸術点レベルの出来栄え

 

このランタンは確かに一見K&Tの通常の作りと構造と思われるかもしれません。

 

しかしやはりこのグローブが全てをランタンの構造を覆すほどの魅力を持っていると言っても過言ではありません!

 

僕の中ではこのランタンは最高得点の魅力だと思っています!

 

 

この一部分を切り取っただけでも絵になるランタンていうのも珍しいと思います!

 

 

人間が作り出したアナログなものって凄く自然に調和するように感じます・・・

 

そろそろ灯している写真が見たいですよね・・・こちらです・・・

 

 

最高です・・・もうこの一言でこの記事を締めくくってい良いと思います・・・

 

Kaestner&Toebelmannは僕の中では最高に大好きなランタンのひとつです。そしてこれからもずっと好きなランタンであることでしょう。

 

K&T ERFURT Nr.104 まとめ

いかがでしたでしょうか??

 

今までになかったK&Tの魅力をお見せできたのではないかと思います!

 

ランタンは構造やデザイン、そして作りこみ具合などいろいろ計算されて作られた実用的な物でもあり、芸術品でもあると思ったそんなランタンでした。

 

今後もまた魅力的なランタンをご紹介していければと思います。

-ヴィンテージランタン
-, ,

© 2024 あめんぼブログ Powered by AFFINGER5